転職のかんづめ >> 弁護士 永野海の雇用・労働問題ズバリお答え!
永野 海(ながの かい)プロフィール
借金を含む債務問題、事業再生、相続、離婚、契約チェック、損害賠償、交通事故、消費者問題の事件はもちろんのこと、行政事件、知的財産事件、会社更生事件から医療過誤事件(患者側)まで、比較的専門性の高い分野も含めて幅広い分野の経験があります。
<職歴>
  • (財)しずおか産業創造機構登録専門家
  • 富士市産業支援センター登録弁護士
  • (財)日本クレジットカウンセリング協会嘱託弁護士
  • (社)個人版私的整理ガイドライン運営委員会登録専門家
  • 消費者問題委員会委員
  • 災害対策委員会委員

マイベストプロ静岡

QUESTION & ANSWER

Vol.08更新日:2015年10月15日

Q. 私の会社では、タイムカードを押し忘れた場合には「罰金」という制度があるのですが、このような制度は、認められることなのでしょうか?

A. ここでの「罰金」の意味をどう考えればよいでしょうか。
まずこれを、従業員はタイムカードを打刻しなければならないという業務命令に違反したとして、使用者が損害賠償の請求をしているものと考えてみます。
タイムカードは労働者の労働時間の管理に重要なものですから、タイムカードの打刻を義務付ける業務命令は適法なものです。タイムカードの押し忘れは、この業務命令を、過失により違反してしまった場合と見ることができます。しかし、それによって使用者が直ちに「損害」を被るものではありませんから、罰金という名目で損害賠償を請求することは簡単には認められないでしょう。

他方、「罰金」の意味を、タイムカード押し忘れに対する懲戒処分と考えるとどうでしょうか。もちろん懲戒処分である以上、就業規則に明記されていることが大前提となり、ここでは実質的に減給処分と見ることになります。タイムカードの適正な打刻により労働時間を正確に把握する必要性はありますので、タイムカードの押し忘れが何度も続くような場合に懲戒処分を行うことは可能でしょう。ただし、懲戒処分として、タイムカードの押し忘れの回数や頻度などに応じて相当な程度でなければなりませんし、また、使用者としては、けん責処分や戒告処分を経ずにいきなり減給処分を行った場合には、処分の有効性に大きな疑問が生じます。
さらには、減給処分では、1回の処分額が平均賃金の1日の半額を超えてはならないという制限や、処分の総額がたとえば毎月の賃金の10分の1を超えてはならないという制限があることにも注意が必要です(労基法91条)。

あなたの会社では、そのような制度が実際に就業規則に明記されているか、他の懲戒処分を経ずにいきなり減給処分がなされていないか、押し忘れの回数、頻度に対して処分として均衡がとられているか、そして減給額が前記の上限額を超えていないか、などを確認してみてください。