転職のかんづめ >> 弁護士 永野海の雇用・労働問題ズバリお答え!
永野 海(ながの かい)プロフィール
借金を含む債務問題、事業再生、相続、離婚、契約チェック、損害賠償、交通事故、消費者問題の事件はもちろんのこと、行政事件、知的財産事件、会社更生事件から医療過誤事件(患者側)まで、比較的専門性の高い分野も含めて幅広い分野の経験があります。
<職歴>
  • (財)しずおか産業創造機構登録専門家
  • 富士市産業支援センター登録弁護士
  • (財)日本クレジットカウンセリング協会嘱託弁護士
  • (社)個人版私的整理ガイドライン運営委員会登録専門家
  • 消費者問題委員会委員
  • 災害対策委員会委員

マイベストプロ静岡

QUESTION & ANSWER

Vol.25更新日:2017年9月20日

Q. 私は重いヘルニアで長期休職していたのですが、休職期間が満了になりました。そこで、以前のような腰に負担のある仕事内容ではなく、復職可能な事務系の仕事に配置転換してもらいたいと思っているのですが、会社は、以前の仕事を基準にして、「その腰の状態では仕事は無理だ。」として退職を求めてきます。何かよい方法はないでしょうか。

A.
ご質問の件ですが、まず一般に、病気で休職し、休職期間が満了になった際には、復帰後の職務に耐えられるかという問題が生じます。復帰可能な状態とはいえない場合には退職の効果が発生します。
そのため、復職可能な状態にあるかの客観的、医学的な判断が必要になるわけですが、その際、休職前の仕事内容を基準に復職可能かどうかを判断するのか、それとも配置換えなどを行って他の軽易作業ならできるかどうかで復職可能かを判断するかが問題になります。
この点、最近の裁判例では、上記でいう後者の考え方が有力です。会社は、配置転換の可能性を十分に検討した上で、復職可能性について検討する必要があり、そのような検討なしに行った退職手続は無効とされる傾向にあると言えます。
そのため、あなたとしては、会社に対して、証拠に残る形で、以前とは異なる業務であれば働ける、働きたいとの意思をしっかりと示しておく必要があります。ただし、あなたが専門的資格や能力により採用されている場合には、休職以前の仕事内容で復職可能かどうかを判断される可能性もありますので注意して下さい。体育教師の休職の事案でそうした判断をした例があります。