転職のかんづめ >> 弁護士 永野海の雇用・労働問題ズバリお答え!
永野 海(ながの かい)プロフィール
借金を含む債務問題、事業再生、相続、離婚、契約チェック、損害賠償、交通事故、消費者問題の事件はもちろんのこと、行政事件、知的財産事件、会社更生事件から医療過誤事件(患者側)まで、比較的専門性の高い分野も含めて幅広い分野の経験があります。
<職歴>
  • (財)しずおか産業創造機構登録専門家
  • 富士市産業支援センター登録弁護士
  • (財)日本クレジットカウンセリング協会嘱託弁護士
  • (社)個人版私的整理ガイドライン運営委員会登録専門家
  • 消費者問題委員会委員
  • 災害対策委員会委員

マイベストプロ静岡

QUESTION & ANSWER

Vol.29更新日:2018年4月16日

Q. 私の会社では就業規則などのなかで、退職後に競業企業に就職する場合には退職金は支給しないという規定があります。今回私はいまの会社での経験を活かすために同業他社に転職したいと考えていますが、この場合退職金はもらえなくなってしまうのでしょうか。

A.
ご質問のような就業規則や退職金規程はたまに目にすることがあります。この点に関しては、三晃社事件という裁判例があります。一審ではそのような規定は損害賠償の予定を約束したもので労働基準法16条に反し無効と判断されました。しかし控訴審では逆転で規定有効の判断がなされ、最高裁でも退職金が(賃金の後払いではなく)功労報償的な性格も持っていることなどから労働基準法5条や16条、あるいは民法90条などには必ずしも違反しないと判断しています。
もっとも、その後の裁判例では、有効、無効の判断がわかれています。ポイントとしては、規定の内容が退職金の全部を支給しないとするものか半額支給とするものかという点や、企業の規模、業務の内容、制限の程度などを総合的に考慮して判断しているようです。
たとえば平成21年の三田エンジニアリング事件では、東京高裁が、退職後1年間、競業企業の対象も地域も限定せずに転職を禁止しているのは制限が広すぎるとして、競業禁止を適用できるのは、競業他社への転職のうち、現に会社の営業機密を開示、漏洩するような場合に限定されるべきで、そのような場合には退職金を制限する規定も有効だが、当該事案ではそのような転職とは認められないと判断しています。
あなたの場合でも、本当に会社に具体的に損害を与えるような転職であるのか、また競合会社への転職の制限が広すぎないか、などの点で判断されるものと考えられます。